RinzaLab定期ミーティング 2019年3月7日開催

データとAIをいかに活用するかが企業の成長のカギを握ると言われるなか、日本ユニシス株式会社が主催するRinzaLab定期ミーティングの第一回となる「イノベーションを加速するデータ活用とAI ~製造・流通・小売りのバリューチェーンにおける、データ利活用について考える~」が、3月7日、東京・赤坂のケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ東京本社にて開催されました。イベントでは、内閣官房IT総合戦略室 政府CIO補佐官 信朝 裕行氏をお招きして講演を行うとともに、後半では、データとAIの活用に関する課題の共有や、その解決に向けてアイデアを出し合う参加型のワークショップも行われました。

デジタル時代の新しい日本のIT政策動向と人材育成のあり方

まずはイベントの開催にあたり、奥山直哉(日本ユニシス株式会社 業務執行役員)が挨拶に立ち、“データ活用+AI”にまつわる最近の動向について解説したうえで、「本日のイベントが皆さんのチャレンジの役に立つことを願っています」と会場に向けて呼びかけました。  続いて信朝氏が登壇し、「データ流通と活用をめぐる政策動向と事業への視点」というテーマのもと、同氏の広い知見や政府CIO補佐官の視点から、国内外のデータ活用にまつわる政策や法制度の動向、ビジネスパーソンが踏まえるべきポイントなどについて言及しました。 「ここに来て、データ活用に関する政府の施策は急激に加速しています」と話した信朝氏は、官民データ活用推進基本法に基づくデータ活用における官民連携の要点として以下の4つを挙げました。

  1. 1) オンライン・ファースト
  2. 2) オープン・バイ・デフォルト
  3. 3) PDS、情報銀行、データ取引市場
  4. 4) サービス・デザイン、BPR、標準

「世界を見渡しても、データを原動力として産業構造が大きく変化しており、例えば世界の時価総額トップ企業を見ると、GAFA(アメリカのGoogle、Amazon、Facebook、Appleの4つのIT系企業の総称)やBAT(中国のBaidu、Alibaba、Tencentの3つのIT系企業の総称)といったデジタルプラットフォーマーが世界経済の枢軸を成しているのがわかります」と信朝氏は言います。

ここで信朝氏が特に着目したのがBATです。

「BATの存在感はますます増していて世界的に大きな力を持とうとしています。とりわけ日本に対しては積極的な展開を見せています」(信朝氏)

こうした世界的な動向を受けて信朝氏は、データ保護主義に陥らない日本ならではのデータ流通・活用環境の整備の必要性を訴えました。

「我が国はG20の中でも最も安定した政権となっており、また日本だけが自由主義の旗手だと世界から見られていて、そこは誇ることができるでしょう。そんな日本が敢えてデータ保護主義(=重データ主義)に走るわけにはいきません。だからこそ、我が国ならではのデータ活用のスタンスが必要であり、それが昨年12月頃からの急速な施策展開につながっているのです。私達が目指すことは自由主義経済的なデータの利活用環境を守り、安倍首相が1月23日に世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で提唱したDFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)を実現することです」──こう力説した信朝氏は、デジタル時代において日本政府が掲げる新たなIT政策の方向性を示しました。

まず、デジタル時代の新たなIT政策の方向性を象徴するのが、信朝氏も仕事として深く関わっている「情報銀行」の構想です。情報銀行は、我が国独自の個人情報流通の仕組みで、情報活用の主体を個人としている点がGAFAやBATのようなプラットフォーマーと一線を画する特徴となっています。

続いて信朝氏は、デジタルプラットフォーマー規制の基本原則を示しました。基本原則は7項目から成りますが、信朝氏が特に大きな意味を持つとしたのが、「公正性確保のための透明性の実現」「公正かつ自由な競争の実現」「データの移転・開放ルールの検討」の3項目です。

「これらの基本原則は、GAFAによるデータの抱え込みに対する人々の不満や不安を解消することにもなるはずです」と信朝氏はコメントしました。

また「我が国にはAIの開発に携われる人材が少ないのが現状です」とし信朝氏は、AI学位・認定機関の創設をはじめとした教育改革、研究開発など日本のAI戦略の改定に関して解説しました。

そして最後に信朝氏は、「データはダイナミックに動き出します。その時、ビジネスはどう対処するべきなのでしょうか?」と会場に問いかけると、デジタル時代に求められる人材像について次のように力説して講演を締めくくりました。「真に必要となるのは“教えられないスキル”です。それは、アルゴリズム学習や並列的思考、専門性にプラスしてITを考える力、アウトプット発想ではないアウトカム発想といったスキルです。そこを踏まえてどのように人材を育てるのかを考えないといけないでしょう。データの獲得と活用を中心に考えた、ビジネスエコシステムを構築していく発想が求められているのです」

活発なディスカッションが繰り広げられたワークショップ

イベントの第2部では、「製造・流通・小売りのバリューチェーンにおけるデータ利活用を考える」というテーマで、データ活用ワークショップが実施されました。

ワークショップを始める前に、伊藤 佳美(日本ユニシス株式会社 Techマーケ&デザイン企画本部長)が、データの重要性が高まっている背景や今回のワークショップの目的やルールなどについて簡単な解説を行いました。

「自分の会社と同じ課題を隣の会社でも抱えているかもしれません。そうした体感をしていただくのがこのワークショップの目的です」と伊藤は言います。

様々な業界が垣根を超えてつながり始めている今、データ分析結果を意思決定に反映するためには、企業のビジネスそのものを熟知している人がデータサイエンティストに指示をする必要があります。そこでこのワークショップでは、日本ユニシスのデータサイエンティストも同席し、自社の課題をデータ活用によって解決する糸口を探していただきました。

また、実際にデータを活用すると何ができるのかを理解していただくために、日本ユニシスにおけるデータ活用ビジネスの事例として「スマートキャンペーン®」を安藤 剛(日本ユニシス デジタルアクセラレーション戦略本部 デジタル推進部)が紹介しました。

ワークショップでは、参加者がA、B、Cの3チームに分かれてグループディスカッションが繰り広げられました。それぞれの企業ごとに業界バリューチェーンをシートに表し、業務上で困っている事柄をできるかぎり具体的に挙げてもらいました。そしてそれらを付箋に記入して、バリューチェーンシート内の該当箇所に貼るようにしました。

ディスカッション後には全体発表が行われました。チームAが発表したのは、サプライチェーン全体がWinWinになるために、パートナーシップに重きをおいてAIを活用することで、楽に楽しく仕事ができるようにすることを目指したものでした。チームBでは、データを活用した協力会社や発注者、コンサルなどと工程管理を共有して紙からの脱却を図るアイデアなどを示しました。そしてチームCは、卸会社と店舗間も含む自社商品の流通の可視化に関するアイデアを発表しました。

ワークショップの後には交流会も開催され、イベントは盛況のうちに幕を閉じました。 RinzaLabは今後も定期的にミーティングを開催する予定です。参加者の方々の意見やアイデアを活かしながら、ビジネスエコシステムの創出を目指した場づくりを継続的に進めてまいります。これからもRinzaLabの活動にご期待ください。